「特に行きたい業界がない…」
新卒の就職活動、いざ始めようと思っても、この巨大な壁にぶち当たって動けなくなっているあなたへ。その気持ち、痛いほどよくわかります。周りの友達が「僕は絶対商社!」「私はITでWebサービス作りたい」なんてキラキラした目で語っているのを聞くと、心臓がキュッと締め付けられるような、なんとも言えない焦りを感じますよね。
「自分には何もないんじゃないか…?」そんな不安が胸をよぎるかもしれません。でも、ちょっと待ってください。今日、私はあなたに、その悩みが決して弱みなんかじゃなく、むしろ最強の武器になり得るということを、全力でお伝えしに来ました。
断言します。行きたい業界がないのは、あなたがダメだからではありません。むしろ、特定の業界への「思い込み」や「憧れ」という色眼鏡をかけていない、めちゃくちゃフラットでクリアな視点を持っている証拠なのです。それは、誰にも真似できない、あなただけの強みになります。
この記事を読めば、「業界」という呪いから解放され、自分だけの「納得できる会社」を見つけるための、具体的で、泥臭くて、でも最高に面白い方法がわかります。読み終わる頃には、「あれ、行きたい業界がないって、むしろチャンスじゃない?」と、ニヤリと笑えるようになっているはずです。さあ、あなたの就活を、他人基準のつまらないレースから、自分だけの最高の冒険に変えていきましょう。
「行きたい業界がない」は欠点じゃない。むしろ可能性の塊です。
まず、最初に心に刻んでほしいことがあります。それは、「行きたい業界がない」というのは、あなたの欠点でもなければ、やる気がない証拠でもないということです。むしろ、無限の可能性を秘めている状態なんですよ。本当に。
考えてもみてください。高校まで、大学まで、私たちは「社会」のことなんてほとんど何も知らずに生きてきました。学校の授業で「〇〇業界のビジネスモデルについて」なんて真剣にやった記憶、ありますか?ほとんどないのではないでしょうか(専門の学部でしたら、ごめんなさい)。なのに、就活が始まった途端、「さあ、一生を捧げたい業界を選びなさい!」なんて、あまりにも無茶ぶりだと思いませんか?
周りがスラスラと志望業界を語れるのは、彼らが特別優れているからではありません。もしかしたら、テレビドラマの影響だったり、親の勧めだったり、あるいは「なんとなくカッコよさそう」くらいの、フワッとした理由かもしれません。それ自体は悪くないのですが、あなたがそのフワッとしたものを持っていないからといって、劣っていることには全っっっ然ならないのです。大丈夫です。
まずは「業界」という呪縛から自分を解放しましょう
そもそも、私たちは「業界で選ぶ」という思考停止に陥りがちです。就活サイトを開けばデカデカと「業界から探す!」と書いてありますし、キャリアセンターに行けば分厚い業界地図を渡されます。まるで「まず業界を選ばねば、就活は始まらぬ」と言わんばかりのプレッシャーを感じますよね。
でも、ちょっと考えてみてほしいのです。「メーカー」と一言で言っても、ポテトチップスを作っている会社と、戦闘機のエンジンを作っている会社では、中身は天と地ほど違います。そうですよね?「IT業界」だって、企業の根幹システムを支えるゴリゴリのSIerもあれば、女子高生が使うカメラアプリを作っているベンチャーもあります。
「金融」と聞いて、メガバンクの堅いイメージしか湧かないかもしれませんが、地域の中小企業を必死で支える信用金庫の職員さんもいますし、PC画面に張り付いて兆単位のお金を動かすディーラーもいます。
「業界」という大きすぎる括りで物事を見てしまうと、その中にある一つひとつの会社の「個性」や「リアルな姿」が、全部ぼやけて見えなくなってしまうのです。だから、まずは「どの業界に行きたいか」という、そのデカすぎる問いを、一旦脇に置いてみませんか?心がフッと軽くなるはずです。
「やりたいこと」なんて、働いてみないとわからないのが真実です
もう一つ、私たちを苦しめる呪いの言葉があります。「やりたいことを見つけなさい」です。本当に困ってしまいますよね、この言葉。
私もそうでした。就活生の時、自己分析セミナーで「あなたのやりたいことは何ですか?」と聞かれて、本当に何も出てこなかったのです。周りが「途上国支援を…」「日本の技術力で世界を…」とか崇高なことを言う中で、私が考えたのは「うーん、できれば怒られずに、そこそこの給料をもらって、土日はちゃんと休みたい…」みたいなことだけ。口が裂けても言えませんでしたけどね!
でも、社会人になって10年以上経った今ならハッキリ言えます。新卒の時点で「これが私の天職です!」なんて確信している人は、ほとんどいません。いたとしても、その人は相当ラッキーか、あるいは少し世間知らずなだけかもしれません。
多くの社会人は、働きながら「あれ、この仕事、意外と面白いかも」「こっちの分野の方が向いてるな」なんて感じで、少しずつ自分の「やりたいこと」や「向いていること」の輪郭を掴んでいくのです。転職を繰り返しながら、40歳になってようやく「これだ!」というものに出会う人だっているくらいです。
だから、今「やりたいこと」がなくても、1ミリも焦る必要はありません。ないのが普通。ないのが当たり前なのです。その前提に立って、じゃあどうするか?を考える方が、よっぽど建設的です。
業界じゃなくて「自分軸」で会社を探すという荒業
「業界」というデカい看板を一旦忘れて、「やりたいこと」という高尚な目標も横に置く。じゃあ、一体何を頼りに会社を探せばいいのでしょうか?答えはシンプルです。
「他人」や「社会」が作った基準ではなく、「自分」の中にある基準で探す。
これが、私の言う「自分軸」で会社を探すという荒業です。難しく聞こえるかもしれませんが、やることは超具体的で、誰にでもできます。学歴も、才能も、コミュ力も関係ありません。あなたがあなた自身のことを、ちょっとだけ深く知ってあげるだけでいいのです。
STEP1 「好き・嫌い」じゃなくて「できる・できない」「苦じゃない・苦」で考えます
「好きを仕事に!」という言葉は、キラキラしていて魅力的ですが、多くの人にとってはハードルが高いものです。だって、「これが好きだ!」と胸を張って言えるものがないから、今悩んでいるわけですもんね。
だから、基準をグッと下げてみましょう。「好き・嫌い」の二択ではなく、「できる・できない」とか「やっていて苦痛じゃない・めっちゃ苦痛」という、もっとリアルな四象限で考えてみるのです。
例えば、私の場合。
・人と話すこと → 好きではないけど、別に苦痛でもない。むしろ初対面の人と話すのは少し得意かも? → 「苦じゃない」「できる」
・細かいデータを延々と入力する → 本当に無理です。30分で発狂しそうになります。 → 「苦」「できない」
・何かを計画して、段取りを組むこと → 嫌いじゃない。むしろ旅行の計画とか立てるのは好き。→「苦じゃない」「できる」
・人前でプレゼンすること → すごく緊張するけど、準備すればなんとかなる。終わった後の達成感は少し好き。→「苦」「できる」
こんな感じです。どうでしょうか?「好きなこと」より、ずっと考えやすくないですか?
あなたのアルバイト経験、サークル活動、ゼミの発表、なんでもいいです。過去の経験を思い出して、「あれは割とスムーズにできたな」「あれは二度とやりたくないな」ということを、感情のままに書き出してみてほしいのです。それが、あなただけの「仕事の向き・不向き」を知るための、最初で、そして最高のヒントになります。
STEP2 会社の「What(何をしているか)」より「How(どう働くか)」に注目します
「自分にできそうなこと・苦じゃないこと」が少し見えてきたら、次は会社の「働き方」に目を向ける番です。会社の事業内容(What)に興味が持てなくても、自分がどんな環境で、どんなふうに(How)働きたいかは、結構イメージできるはずです。
これは、あなたの価値観そのものです。正解はありません。ただ、あなたが何を大切にしたいか、です。
例えば、こんなリストを作ってみましょう。
・働き方:チームでワイワイ or 個人で黙々?
・キャリア:若手から裁量権バリバリ or じっくり研修で育ててほしい?
・評価制度:成果主義でガンガン稼ぎたい or 年功序列で安定がいい?
・会社の雰囲気:体育会系で熱い感じ or クールでロジカルな感じ?
・勤務地:全国転勤でいろんな場所に行きたい or 地元で落ち着きたい?
・ワークライフバランス:残業してでも成長したい or 定時で帰ってプライベート重視?
どちらが良いとか悪いとかではありません。あなたが「こっちの方が心地いいな」と思う方を選んでいくだけです。この「How」の条件が、あなたにとっての「良い会社」の定義になります。
「自動車部品を作っている会社」には興味がなくても、「若手から海外で挑戦できて、チームワークを重視する会社」と聞いたら、少し興味が湧きませんか?逆に、「最先端のAIを開発している会社」でも、「個人主義で成果が出ないと即クビ、深夜残業当たり前」と聞いたら、「うわ、無理かも…」と思うかもしれません。
会社の「What(事業内容)」は、入社後に変わることもあります。でも、「How(社風や価値観)」は、そう簡単には変わりません。だからこそ、こちらを重視する方が、入社後のミスマッチを劇的に減らせるのです。
STEP3 説明会やOB訪問で「この人みたいになりたいか?」を自問します
最後にして、最強の判断基準。それは「人」です。
企業のウェブサイトやパンフレットには、それはもうキラキラした言葉しか並んでいません。「風通しの良い職場です!」「若手が活躍しています!」。本当かな?って思いますよね。
その真偽を確かめる唯一の方法は、生身の人間に会うことです。説明会、座談会、OB・OG訪問、面接…とにかく、その会社で働く人に会いまくるのです。そして、たった一つの質問を自分に投げかけてみてください。
「5年後、10年後、自分はこの人みたいになっていたいだろうか?」
目の前にいる人事の人、現場の社員さん、役員の人。その人の話し方、表情、仕事に対するスタンス、醸し出す雰囲気。それら全部を感じ取って、直感で判断するのです。「うわ、この人カッコいいな。こんな大人になりたい」と思えるか。あるいは、「この人、目は笑っていないな…こんなふうにはなりたくないな」と感じるか。
この直感は、驚くほど当たります。私が就活生の時、ある大手企業の説明会で、すごく偉そうな態度で学生を見下すような話し方をする人事の方がいたのです。その瞬間に、「あ、この会社は絶対にないな」と思いました。事業内容には少し興味がありましたが、あの方と同じ会社で働く未来は1ミリも想像できませんでしたから。
理論やデータではありません。あなたの心が「YES」というか「NO」というか。その感覚を、何よりも信じてあげてほしいのです。
偶然の出会いを信じましょう!食わず嫌いをやめるためのヒント
ここまでで「自分軸」がある程度固まってきたと思います。でも、その軸に合う会社がどこにあるかなんて、すぐにはわかりませんよね。ここからは、とにかく行動量を増やして、偶然の出会い、つまり「セレンディピティ」を引き寄せるフェーズです。
自分でも予想しなかったような会社との出会いが、あなたの就活を、そして人生を、面白くしてくれるかもしれませんよ。
知らない業界の合同説明会に“あえて”行ってみましょう
合同説明会って、人が多くて疲れますし、有名企業にばかり学生が群がっていて、なんだか気後れしてしまいますよね。でも、使い方次第では最高の「宝探しの場」になります。
ポイントは、自分の興味がある業界や知っている企業のブースには“行かない”ことです。え?と思いますよね。そう、あえて、名前も聞いたことがないような、何をやっているか全然わからない会社のブースに、ふらっと立ち寄ってみるのです。
目的は、内定を取ることではありません。「へぇ~、世の中にはこんな仕事もあるんだ!」という発見を楽しむこと。それだけです。期待値ゼロで行くから、ちょっとした話でも面白く感じます。「ビルの窓拭き専用のゴンドラだけ作っている会社」とか、「神社のおみくじを印刷している会社」とか、「業務用の特殊な冷凍庫の会社」とか。
そういうニッチなBtoB企業の話を聞くと、「ああ、社会ってこうやって、色々な会社が支え合って成り立っているんだな」という、社会の解像度がグンと上がります。もしかしたら、そのニッチな会社が、あなたがさっき作った「自分軸(How)」に、奇跡的にピッタリはまる可能性だってあるのです。食わず嫌いは、もったいないですよ。
就活サイトの「あなたへのおすすめ」を無視して検索してみましょう
就活サイトは便利ですが、一つ落とし穴があります。それは、閲覧履歴や登録情報に基づいて、「あなたにおすすめの企業はこれ!」というのを、親切に(おせっかいに)表示してくることです。
一見ありがたい機能ですが、これはあなたの視野をどんどん狭めてしまいます。だって、自分が一度見たような業界や職種の会社ばかり表示されるようになるのですから。これでは、新しい出会いなんて生まれるわけがありません。
だから、その「おすすめ機能」は一旦無視しましょう。そして、もっと原始的な方法で企業を探してみるのです。例えば、フリーワード検索の欄に、自分の価値観を表す言葉を打ち込んでみます。「挑戦」とか「ありがとう」とか「地元」とか「世界平和」とか、なんでもいいです。普通は検索しないような言葉で検索すると、思わぬ企業がヒットしたりします。
あるいは、五十音順で、上から順番に社名を眺めてみる、とかですね。馬鹿らしいと思うかもしれませんが、こういう無作為な行動が、あなたを「いつもの自分」の枠から解放してくれます。作業ゲームだと思って、楽しんでやってみてほしいのです。そこには、アルゴリズムが絶対に見せてくれない、素敵な出会いが眠っているかもしれませんから。
まとめ 「行きたい業界がない」あなたは、自由です。
さて、長々とお話ししてきましたが、私が一番伝えたかったことは、もう一度言いますね。「行きたい業界がない」あなたは、何も持っていないのではありません。誰よりも大きな「自由」を持っているのです。
特定の業界への憧れや思い込みがないからこそ、あなたはゼロベースで、本当に自分に合った会社がどこなのかを探すことができます。それは、最初から「〇〇業界に行く!」と決めている人には、決してできないことです。
もう、「業界」という大きな枠で考えるのはやめにしましょう。分厚い業界地図を眺めてため息をつく必要もありません。あなたが持つべき羅針盤は、外にあるのではありません。あなたの内側にあるのです。
「これは人より少し得意かも、苦じゃないかも」という小さな自信。
「お給料よりも、人間関係が良い方がいいな」という、あなただけの価値観。
「こんな大人になりたいな」という、ぼんやりとした憧れ。
この3つの「自分軸」を頼りに、会社を探してみてください。それは、他の誰かの真似ではない、あなただけの就職活動です。食わず嫌いをやめて、色々な会社の話を聞いてみましょう。くだらないと思っていた会社が、案外、あなたにとっての天国かもしれません。
就職活動は、内定という「正解」をいち早く見つけるゲームではありません。遠回りしたり、悩んだりしながら、自分だけの「納得解」を見つけていく、長くて面白い旅なのです。周りが内定を取り始めても、絶対に焦らないでください。あなたには、あなたのペースと、あなただけの道があります。
「行きたい業界がない」と悩んでいた今日のあなたが、この記事を読み終えた後、「さて、どこの会社の話から聞いてみようかな」と、少しだけワクワクしてくれていたら、私は最高に嬉しいです。あなたの就活が、他人基準のつまらないレースではなく、自分だけの面白い冒険になることを、心から願っています!